③聖師の第二回目の高熊山修業 ~歌集『霧の海』より~

「愛善世界」誌掲載文等

 出口王仁三郎聖師は、明治三十一年旧二月九日から高熊山で修業をされているが、第二回目の修業が、回顧歌集『霧の海』の中にあるのでまとめてみた。

 なお、霊界物語や大本七十年史には第二回目の記載がないが、時期は「青葉の初夏」とある。

◆時川安家

 この二回目でも聖師は、まず中有界に入られ、泥かけ坊主とか三途の川の脱衣婆に、そして「時川安家」に会われている。

 安家は聖師を、「三千世界の救世主」として(あが)めて救われるのであるが、道ならぬ道で天下を取って三百年治めたとか、神宮に祀られて苦しいとかいうことから、この安家は徳川家康であろう。

◆瑞の御霊

 聖師は物語にある山などに行かれ、幾人かの神々と出会われているが、ことに特徴的なのが、神々から教えられてご自身のご神格を覚られることである。

 「瑞の御霊」と中有界で言霊別から呼ばれ、また、最奥天国においては、国常立の神と稚姫君命からも同様に呼ばれ、ご自身が宝珠を頭にした女神の姿であることに驚かれている。

 さらに吉祥山では、天から降った三つの玉が聖師の体内に入り、「いよいよ瑞の霊よ」と木の花姫に言われるのである。

◆ウーピーの神・白梅の君

 また、聖師が月照山や竜宮島を経て、女神となって黄金の橋に足を滑らしながら、月の宮や八洲の河原を案内された時は「ウーピーの神」と呼ばれ、さらに(なな)乙女(をとめ)から「木の花姫」「()()()の姫」「神国を建てる神人」「主の神の()(たま)」と歌われている。

 加えて天教山では、木の花姫から「言霊別」と呼ばれ、海原で日の出の神に会った後、大道を行くと白梅が全身を包み体内にしみ入り、木の花咲耶姫から「白梅の君」と言われている。

◆木の花姫

 ところで、木の花姫は何度か出ておられるが、気になる場面がある。聖師が、ご自身の精霊に会われ女神の姿となられて、「惟神霊幸倍座世」の尊さを覚られるのであるが、黄金の雲に包まれた聖師に木の花姫が合掌されている。これをどう考えるのであろうか。

 また別のところに、木の花姫が弥仙の高山の(ほこら)にお鎮まりになったことが記されている。

◆国常立の神・稚姫君命

 前述の最奥天国で、国常立の神と稚姫君命から将来地上に移写する長生殿を案内されているが、()(しま)では、国治立の大神から(しこ)(ぐさ)()ぎ払うよう()(つか)のつるぎを授けられ、また、月から出られた(わか)(ひめ)(ぎみ)(かみ)から神示をいただかれている。

 このように聖師は両神から教わることが少なくない。

◆オリオン星座の姫神

 お背中にオリオン星座の三つ星がある聖師だが、聖師がオリオン星座から現れた姫神に心を奪われる場面がことに面白い。

 その(さま)は、「すがたなやまし、胸はたかなる」というように尋常ではなく、ついに聖師は姫神に抱きつき、肘鉄まで食らってしまう。そして、聖師は「天も地も宇宙一切金色の世界」の心地たるオリオン星座に運ばれ、自らを「エロの神」と宣る姫神から玉手箱を授けられるのである。   

 天馬(くう)を行く霊界の旅行をいつ(まで)も続けたい気分が湧いて来る

        (平26・10・10記)
〔『愛善世界』平成27年11月号掲載〕

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