㊿天の岩戸開きを考える(その一)

「愛善世界」誌掲載文等

○竹生島に渡る

 八年前の平成二十五年十二月、素盞嗚尊の三女神が祀られている琵琶湖の竹生島に、妻と渡った。渡る前には、天照大御神の五男神の一人、(あま)()(ひこ)(ねの)(みこと)が育ったという彦根城【註1】も訪れた。

竹生島 平25.12.22
彦根城 平25.12.22

 出口信一先生の講話集『救世(ぐせい)(みふね)に』に、琵琶湖竹生島に関する箇所がある。

「琵琶湖はちょうど人体にたとえるなら女性の子宮に当たるそうです。聖師様は琵琶湖を東西に分けて、東は天照大神の領域ということを教えておられます。そしてこの琵琶湖から人類が発祥したと言われています」(二一九頁)

救世の船に

 つまり、①琵琶湖から人類が発祥したこと、②琵琶湖を境に、天照大御神と素盞嗚尊が領域を分けているとのことであるが、その根拠であるのか、同様のことが出口聖師著『皇典釈義』(第二十三節「人類出生の始め」)にある。要約してみた(七一~七三頁)。

①初めて人体を具備した神の出生は、竹生島の三女神と近江の醸造郡(かもごおり)五男神である。

②〇天照大御神は太陽を機関とし、近江国伊香具(いかご)の宮を本営とし、伊吹山に登り山脈を伝い、海原に稜威(みいづ)を放つ。須佐男神は太陰水姓を機関とし、比叡山を本営として坂本に住み、三井を経て、日雲山、伊吹山に稜威(みいづ)を放つ。

 〇伊邪那岐神(いざなぎのかみ)が近江の国を線断し、東部を顕界(たかあまはら)御樋代(みひしろ)として三大歴儀(みくらたなのかみ)を授け、天照大御神が知らせること、また、西部を幽界(うなばら)御樋代(みひしろ)として素盞嗚命が海原(うなばら)を知らせるよう言われた。

 東部を天照大御神の、また、西部を素盞嗚尊の領分とし、これに伊吹山や比叡山がからんでいる。伊吹山は竹生島に渡る前に見えた。

【註1】『皇典釈義』八二頁 犬上郡の彦根の()()山=彦根城

皇典釈義
伊吹山 平25.12.22

○北緯三十五度と三五教(あななひけう)

 琵琶湖を境に、二神の領分を示した地図が『救世(ぐせい)(みふね)に』ある(二一九頁)。

日本を二分する

 この地図で面白いのが、竹生島が富士山と大山のちょうど真ん中に位置し、しかも、これらが北緯三十五度上に並んでいることである。また、その線上には、先に紹介した伊吹山や比叡山、加えて弥仙山も並んでいる。

 ところで、三十五と言えば三五(あななひ)(けう)である。まさに、綾部市(北緯三五度一五分・東経一三五度一六分)も亀岡市(北緯三五度○○分・東経一三五度三四分)も北緯三十五度上にある。加えて、東経百三十五度上という念の入れ方である。大本が三五教の聖団であることが、地理的にも刻み込まれている。

 さらに加えると、これら北緯三十五度上の山々の高熊山や桶伏山、天教山、弥仙山はすべて、神素盞嗚尊の聖霊、つまり瑞霊の顕現地である。

「神素盞嗚尊の聖霊…高熊山(亀岡)に現はれ…聖地桶伏山(綾部)に坤金神豊国主命と現はれ、天教山(富士山)に修して観世音菩薩木花姫命と現じ」「瑞霊…弥仙山に再臨し、三十三相木花咲耶姫と現じ」 (入蒙記八章「聖雄と英雄」)

 また、大山についても、神素盞嗚尊が登り大蛇(をろち)を退治し、天照大神に献る宝剣を得るという、瑞霊に関わる山である。

「伯耆の大山…神素盞嗚尊が自ら登山し…大蛇(をろち)より村雲の宝剣を奪ひ、之を天照大神に献り」(三十九巻「総説」)

○霊界物語に示す二神の領域

 霊界物語にも二神が領域を分ける記載がある。舞台が日本ではなく、全世界が舞台となるスケールの大きさである。

 「天の真名井(日本海)から此方(こつち)の大陸は残らず、素盞嗚尊の御支配、天教山の自転倒島(おのころじま)から常世国、黄泉島(よもつじま)、高砂島は姉神様がお構になつて居るのだ」 (十二巻二五章「琴平丸」)

つまり、日本海を境にして、アジア・ユーラシア大陸等が素盞嗚尊の御支配で、日本をはじめ南北アメリカ大陸等が天照大御神の御支配である。

世界を二分する

 しかし、事もあろうに、天照大御神は素盞嗚尊の領土を奪おうとされている。

「姉神様は地教山も、黄金山も、コーカス山も全部自分のものにしようと遊ばして、種々と画策をめぐらされる」(十二巻二五章「琴平丸」)

 なお、地教山はヒマラヤ山のことである。

〔令和5年6月26日 記〕

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