平成二十八年八月、日蓮宗総本山の身延山久遠寺に、妻の両親の遺骨を分骨した。その折、本堂で法華経にある「観音経」(観世音菩薩普門品第二十五)を唱えた。分骨は妻の母親が望んでいたもので、私は法華経を、妻の両親の親戚の葬儀でよく唱えた。

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観音経について出口王仁三郎全集(一巻六篇二章「伊都能売」)にある。「観音経にある…五音とは…妙音 市杵嶋姫命(素盞嗚尊の三女神)」と説明され、「伊都能売は即ち、観音にして木の花姫の顕現」とまとめてある。六巻(二四章「富士鳴戸」)でも同様に、木花姫も観世音菩薩も伊都能売の出口聖師に帰一している。
「木花姫は、神、顕、幽の三界に出没して、三十三相に身を現じ…衆生を救済し…観世音菩薩といひ…三十三魂は瑞霊の意」
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出口聖師は三十歳のとき、弥仙山で木花咲耶姫(=木花姫)に顕現されている(入蒙記八章「聖雄と英雄」)。出口聖師の「弥仙山」(明三六・九・二七)を基に、なお開祖の弥仙山岩戸こもりについて『愛善世界』誌(令和五年七月号)に投稿した。
「弥仙山岩戸こもりの一件は、天のみろく様として、出口聖師が開祖様の信仰姿勢を注意したところ、怒って他国に行こうとされた開祖様をなだめて、弥仙山の自らの懐で、親が子をみるように保護をされたということではないか。そういう温かみを感じる」 (『愛善世界』誌への投稿十年目―弥仙山岩戸開きを考える―)
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四月二十八日(月)の勉強会は、五十五巻一九章「清滝」から最終二二章「比丘」まで。
ダイヤ姫が悪者たちに殺害されんとした時、観音経の一節が聞こえて来る。
「衆生被困厄、無量苦逼身、観音妙智力、能救世間苦…」 (一九章「清滝」)
現代語訳「人々が災いを被り、その身に大きな苦しみがせまるとき…観音の妙智力は世間の苦を除きます…」 (角川ソフィア文庫「法華経」)
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五十三巻のビクの国へのバラモン軍の侵略に始まった物語が、この五十五巻二二章「比丘」で円満に完結する。エンゼルが万公に教示して問題解決となるが、これは観音(=木花姫)の救いのお働きではないかと思う。
「隆靖彦、隆光彦のエンゼルが忽ち御降臨遊ばし、刹帝利の御病気の原因や姫様の御行衛を御知らせ下さいました」 (二二章「比丘」)
この隆靖彦、隆光彦は、改心した荒鷹、鬼鷹に女神がつけた名前(一九巻九章「身魂の浄化」)。女神は木花姫であろう。
(令7・4・30記)
〔『愛善世界』令和7年6月号掲載〕
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