高姫は我がこと(レポート2)

勉強会レポート

 霊界物語インターネット勉強会が一月三十日(土)午後に開催された。第五十一巻第八章「曲輪城」から第十二章「初花姫」まで。
 小北山の聖場乗っ取りに失敗した高姫が、浮木の里の曲輪城で、兇党界の肉体的凶霊妖幻坊の妖術に惑わされる場面である。

 高姫の来歴が、第八章「曲輪城」の長歌で物語られている。参加者から感想があった。

「高姫はけっして他人ごとではなく、実は我々自身のことを言っているのではないか」

 確かに「総ての人の心理状態も亦高姫の如きもの」と序文にある。改心と慢心を三回繰り返す高姫について、出口聖師のお歌がある。

高姫の改心なるもの中々にあてにならねど可愛くもあり 
改心しまた慢心を繰りかへす鼻高姫の面白きかな         〔第二十九巻余白歌〕

 可愛いなど高姫への出口聖師の眼差しは優しいが、我々に対するものでもあろう。第五十六巻(第六章「高圧」)で、高姫を改心させて救うため「三年の間、ブルガリオ(中有界)の修行を命じ」られた大神の仁慈にも通じる。
 また、高姫と同様に肉体的凶霊に憑依された開祖の三女福島久子(第五十巻第二章「照魔燈」)らの拠点八木会合所へ、出口聖師夫妻が訪ねておられる。これも仁慈の一つかもしれない。

 高姫が妖幻坊の魔の中に陥ってしまう原因が「名利」や「恋」「心の誇り」だとある(第一〇章「女異呆醜」)が、これもけっして他人ごとではない。また、凶霊と人間の関係について

いかに魔法を使うとも 神の形に造られし 心の強き人間を 使はにや出来ぬ(しこ)(わざ)

〔第八章「曲輪城」〕

 神様が人間を「神の生宮、天地経綸の御使(みつかひ)」(第五十六巻「総説」)とされるように、兇霊もまた人間、特に心の強い者を使わなければ、悪の仕組みを進められないのである。

 妖幻坊は、数多の魔神を使役し、妖術をもって曲輪城という蜃気楼を現す(第一〇章「女異呆醜」)。戦前の国家体制のこととの話もあるというが、人の物質欲につけ込んで作られた体主霊従の現代世界もまた蜃気楼ではなかろうか。

 なお、兇徒界の妖霊が出口聖師ご昇天後、聖地に侵入するとのお示しがある。我々も、高姫のように妖霊につけ込まれることのないよう注意しなければならない。

 兇徒界の妖霊は…月の西山に入りたる際得たり賢しと聖地に侵入し…明白なる事実なり

〔『錦の土産』大正癸亥旧十月十三日〕
(令3・2・3)
〔『愛善世界』令和3年4月号掲載〕

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