亀岡市の長谷川和子さんから十年ほど前、「聖師眞筆原稿」のコピーをいただきました。大本本部の教学研鑽所におられた御主人の長谷川洋さんが持っておられたものです。
表紙に「証第4796號」「被疑者 被告人 出口王仁三郎」とあるので、大本第二次弾圧事件で証拠として押収されたものでしょう。「14の」とあり、もっとありそうですが、いただいたものはB4版で二百四十五頁ありました。

原稿は主に霊界物語に関するもので、(一)霊界物語本文の出口聖師の直筆原稿、(二)筆録者の元原稿に出口聖師が加筆されたもの、(三)原稿というよりは、霊界物語中のある話の構成を示したもの、(四)短い文章や語句と絵などに、分類ができました。こうした分類に沿って紹介します。
(一)霊界物語直筆原稿
二巻「総説」の出口聖師の直筆です。末尾に「口述者 拝」と記されています。
神々の服装について、国治立命と国大立命、稚桜姫命に関する部分です。
「国治立命のごとき高貴の神は、たいてい絹物にして、上衣は紫の無地で、下衣が純白で、中の衣服が紅の色の無地である。国大立命は青色の無地の上衣に、中衣は赤色、下衣は白色の無地。稚桜姫命は、上衣は水色に」


ところで、この原稿で気になるところがあります。「国治立命」「国大立命」「稚桜姫命」はいずれも修正が入っています。他の箇所も見て推量すると、元々は「国常立命」「神素盞嗚命」「稚姫君命」と書かれていたようです。
霊界物語が進んで行くと修正前の「国常立命」などの御神名が用いられていますが、なぜ、出口聖師は修正されたのでしょうか。今後の課題です。 また、宣伝歌「大聖師」の直筆もあります。

「三千世界の人類や 禽獣虫魚に至るまで
救ひの御船を差向けて 誠の教をさとし行く
神幽現の大聖師 太白星の東天に
閃く如く現はれぬ 一切万事救世の」(六十四巻上二章「宣伝使」)
(二)筆録者の元原稿に加筆
これは二巻(三七章「長高山の悲劇」)の原稿です。

筆録者の元原稿に、出口聖師が加筆をされています。マーカーで塗りましたが、文章中の行の順番が「162…」と示されています。
この加筆部分にはとても意味があります。加筆により、出口聖師の本意が明らかにされています。清照彦が、命令に従って両親(荒熊彦・荒熊姫)を討たんとする場面です。
(ゴシック部分加筆)
「『荒熊彦、荒熊姫…常世姫に内通し…竜宮城を占領せむとす。汝は…神軍を率ゐて…彼ら魔軍を剿滅せよ』
との厳命である。しかし言霊別命は大慈大仁の神なれば、決して内心清照彦をして父母の両神を討たしめむの心なし、ただ清照彦をして父母両神を悔い改めしめ、最愛の児の手より救はしめむとの神慮であつた。清照彦は深き神慮を知らず大義名分を重んじ、つひに父母両神を涙を振つて攻撃した。すなはち清照彦の心中は…苦しかつた。されど大命は黙しがたく…拝命の旨を答へた」(二巻三七章「長高山の悲劇」)
霊界物語の文中で瑞霊の出口聖師が、同じく瑞霊の言霊別命の言葉で、その本心を語っています。命令どおりに両親を討つのではなく、子として両親を改心させ、救ってやりなさいという真意があったということです。それが、加筆の形で残されていました。
印刷された製本だけではわからない神慮のありがたさを、今回、聖師の自筆原稿で知ることができました。
(三)物語の構成を示す
霊界物語中のある話の内容をまとめた構成のような直筆がいくつかあります。二つを紹介します。
◇霊(れい)鷲(しう)山(ざん)の物語(三巻・六巻)
まず、国魂の配置についての三巻と六巻に関するものを紹介します。

自筆にある万寿山の八王神「磐樟彦命」は三巻に、また霊鷲山の「丸(円)山姫命」は六巻に出て来ます。
「万寿山には八王神…磐樟彦、磐樟姫…瑞穂別八頭神」 (三巻一五章「神世の移写」)
「霊鷲山は…根本霊地…圓山姫…三葉彦を…任命」 (六巻二七章「神生み」)
また、次では「霊鷲山」「豊雲野命」「三葉彦命」「大岩窟」「八百万神の聖座」「世界一眼に見えすく霊場」「磐樟彦命」などが読み取れます。

三巻で三葉彦について、こうあります。
「真道姫…霊鷲山に日夜かよひ…三ツ葉彦命は、天の三ツ星の精魂の幸はひによりて地上に降り」 (三巻一五章「神世の移写」)

出口聖師は幽庁の大王より「三葉殿」(一巻七章「幽庁の審判」)と呼ばれ、背中には三つ星の黒子があります。つまり出口聖師は三葉彦命だということです。さらに、岩窟は宇宙の縮図であり、照国の御魂を拝せば、五六七神政の太柱となるとあります。
「霊鷲山の大岩窟…宇宙の縮図」(三巻一七章「岩窟の修業」次も同)
「磐樟彦…の修業…完成…照国の御魂を…拝せば…二度目の天の岩戸開きの神業に参加…五六七の神政の太柱とならせ」
◇竜雲の物語(三十六巻)
悪魔が憑依した竜雲が、サガレン王を幽閉し、妃のケールス姫に取り入り、権勢を誇った物語が三十六巻にあります。これを説明するものには、詳しいインドの地図もあり、驚きました。

なお、この内容を「神懸かりについて―善の神が懸かるよう霊を洗濯し、善の種を撒く―」(『愛善世界』誌令和七年六月号)でまとめています。
(四)短い文章や語句と絵
様々な短い文章や語句を連ねたものが、何頁かあります。その一頁を紹介します。
冒頭の「ハベルノ塔」(旧約聖書「創世記」天に届く神の領域まで手を伸ばす塔を建設しようとして崩れた、神に壊された:ウィキペディア)。これが「今〇成効せぬ」とあります。

あるいは「人間は泥坊中心の動物だ」「公論と衆愚論」。今も変わらぬ人間の愚かさでしょうか。
加えて、カタカナ語もあります。

「アークライト(アーク燈)」は「アーク灯だ…悪党…沢山の軍人を抱へ…武装的平和…地獄の行方…米の方へ握手」(四十七巻一章「アーク灯」)。まるで現行政権そのもののようです。
末尾の「インフルエンス」。英語のInfluenceは「影響を及ぼす、働きかける」。これが、「三五教の」「インフルエンス」「はえらいものだ」。教えの「影響」により人々を「教化」し、「感化」させるような「勢力」の三五教とまとめることができます。今日的に言えば、ネット上の「インフルエンサー」です。

さらに、絵がありました。四巻にある「神示の宇宙」の原案や、人が落ちて行くものもあります。

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(追記)
これらの自筆原稿を十年前に見た時には、その内容がよく理解できませんでした。しかし、今回、このようにまとめることができたのは、霊界物語の勉強が、多少は進んだということだと思います。
(令8・2・1記)〔『愛善世界』令和8年4月号掲載〕


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