㊳霊界物語 第16・17巻に学ぶ(1)~現実味を増す霊界物語の世界~

「愛善世界」誌掲載文等

○三伏(桶伏山・鉢伏山・虎臥とらふす山)

 6年前の平成28年10月8日、「天空の城」竹田城跡を訪れた。妻の希望であった。「お父さんの行くところは大本のところばかり」とよく言われていたが、実は、竹田城跡も大本と関係があった。

「天空の城」竹田城跡【写真提供:吉田利栄氏】
竹田城跡をバックに 平28.10.8

 昭和7年から昭和14年まで竹田城跡を大本が所有している。竹田町の寄付であった。出口聖師は城跡を「愛善郷」と命名され、昭和7年10月18日、巡教されている。

 なお、その折の集合写真が不思議。国祖国常立尊の御神像の顕現だと出口聖師が言われたという巨大な神人が写っている。私の写真にも写らないかなと思ったが、写らなかった。

出口聖師は中央下。
上部に国祖の御神像(昭7.10.18)。

 また、竹田城跡に行く前に「鉢伏山」を参拝した。竹田城跡があるのは「虎臥(とらふす)(やま)」で、翌9日、天橋立(あまのはしだて)を経てお参りをした本宮山が「桶伏山」。「三伏」となる三山をその旅行で回った。

鉢伏山を出口聖師が開かれた(昭21.5.23)。
平28.10.8
三伏 = 桶伏山(本宮山)、
鉢伏山、虎臥山(竹田城跡)
 

○現実味を増す霊界物語の世界

 竹田城跡を出て、天橋立に向かう道沿いに「大江山」が見えた。また、天の橋立・切れ戸の文殊(現在の知恩寺文殊堂)に、龍が舞い降りた「龍灯の松」があったという伝説がある。

   大江山  平28.10.9
天橋立 文殊堂は写真の向こう側。
平28.10.9
雪舟作「天橋立図(国宝)」の文殊堂
天橋立図には、冠島・沓島も
描かれている。

 その「竜灯松」は、霊界物語第16巻に出て来る。英子姫と悦子(よしこ)姫の主従が、邪神のためにメソポタミヤの楽園を追われて、この竜灯松にたどり着く場面に、「大江山」も出て来る。

 二人は舟を棄てて、竜灯松の根元に(ようや)く上陸したり…寒さ身に沁む夕暮の空、ねぐら求めて立帰る烏の群幾千羽、カワイカワイと啼き立て(なが)ら、大江山の方面指して(かけ)り行く」〔第16巻第1章「「天橋立」〕

竜灯松と大江山

 今回学ぶ第16・17巻には、大江山のように現在ある地名等が多く出て来る。実はこれは意図的で、我々に物語を理解しやくし、興味を持たせるためだとあった。

 地名等に於て…分り易くするため、新しき地名を用ゐて口述し〔第17巻「序文」〕 多くわれわれに親しみをもつた地名ですから、興味を感じつつ〔第17巻「凡例」〕

【地名等の一致】

 地図を買い、霊界物語に出て来る地名等と対比してみた。また、その地名等を邪神の割拠地と大神の降臨地に分けた。

霊界物語と一致する地名等

【大本の歴史と一致】

 しかも、単に地名等が同じだけではない。大本の歴史の中で実際にその場所への参拝があるなど、次のとおり霊界物語の世界と現実世界の一致がある。これにより霊界物語の世界が、現実味を帯びる。

◇霊界物語で天照大御神の降臨があった剣尖(けんさき)山麓の④元伊勢・皇大神社(こうたいじんじゃ)に、明治34年、「元伊勢お水の御用」があったこと。

④皇大神社
五代教主出口直子様
④皇大神社参拝 
令3.6.12 (註1)

◇霊界物語で豊国姫の降臨地は比沼の真名井ケ原であるが、出口聖師の弟の上田幸吉氏が、⑤比沼麻奈為神社の宮司であったこと。

⑤比沼麻奈為神社

◇霊界物語にある桶伏山での神素盞嗚大神と国武彦との35万年後の再会の約束が、実際に⑥本宮山がある大本の開教(明治25年)として現実化されること。

【伝説との一致】

 先の天橋立の龍灯の松に関する伝説をはじめ、鬼雲彦ら邪神が割拠した①大江山③鬼ヶ城には、鬼退治や酒呑童子(酒の好きな鬼)の伝説がある。また、⑤比沼麻奈為神社付近には羽衣天女の伝説があるが、第17巻(第4章「羽化登仙」)には羽衣をつけて昇天する話がある。

 このように、霊界物語の内容が伝説として残っているとなると、霊界物語の世界が一層現実味を増す。 

【厳瑞二霊の大神の御経綸】

 大本の神観は厳瑞二霊の大神により成り立つ。この厳瑞二霊の大神が、第16・17巻の舞台となる地域に降臨され、その御経綸が展開されている。

 剣先山麓(④元伊勢・皇大神社 (こうたいじんじゃ))に厳霊・天照大御神が御降臨。また比沼の真名井ケ原(⑤比沼麻奈為神社には瑞霊・豊雲野尊(豊国姫)が御降臨され、瑞霊・素盞嗚尊の根拠地となっている。

 また、大江山は邪神の集まる四つ辻で、瑞霊・神素盞嗚大神と神力発揮のため、厳霊が国武彦から再び国治立命(国祖国常立命)と顕現されて当山を守護されている。

 一方、邪神が綾部の桶伏山(⑥本宮山)や世継王山を攻めんとする(たくら)みは、現在の大本の有様へと続き、一挙に現実感が出てくる。

  剣尖山麓(④元伊勢・皇大神社(こうたいじんじゃ)

「吾は天照皇大神なるぞ」「伊勢神宮宮殿造営の嚆矢(こうし)〔第16巻第16章「神定の地」〕

「神界に於ける(あめ)()の川の源泉にして宇宙の邪気を洗ひ清め(もも)の身魂を神国に救ふ至厳至聖の神域」〔第18章「遷宅婆」〕

  比沼の真名井ケ原(⑤比沼麻奈為神社

「清濁併せ呑む天地の経綸を司る瑞の御霊の神々の集まる源泉」「豊国姫の分霊、真名井ケ岳に天降りミロク神政の経綸に任じ給ひ」〔第16巻第18章「遷宅婆」〕

「我は豊雲野尊、又の御名豊国姫の神なるぞ、国治立の大神と共に一旦地底の国に身を潜め、再び地教の山に現はれて、大海原に漂へる国土を修理固成なしつつ時の至るを待ち居たりしに、天運循環して天津神より此聖地を我鎮座所と神定め給ひたり。我は此地に霊魂を止め自転倒島(おのころじま)はいふも更なり、大八洲の国々島々に我霊魂を配り置きて世を永久(とこしへ)に守らむ」「高山彦…素盞嗚尊の根拠地たる、真名井ケ原を攻略せむとの彼等が計画」〔第17巻第6章「瑞の宝座」〕

  大江山(①大江山

「神界の芥川と称し邪霊の集合湧出する源泉」〔第16巻第18章「遷宅婆」〕

「天下の邪神集まり来る霊界の四辻なれば国武彦の大神、以前の如く国治立の大神と現はれ給ひ、神素盞嗚大神、瑞の御霊と現はれて、神政成就の(あかつき)まで代はる代る当山を守護し(たてまつ)らむ」〔第10章「白狐の出現」〕

  桶伏山・世継王山

「鬼熊別は八岐大蛇の(しこ)(みたま)に操られ…聖地に攻め寄せて 神素盞嗚の大神や 国武彦の大神の 神政成就の経綸地 桶伏山の蓮華台 続いて四尾の神山を 力限りに占領せむと心を砕くぞ果無(はかな)けれ」〔第17巻第12章「花と花」〕

 (註1)「愛善世界」誌 令和3年8月号掲載。

(令4・2・8記)

      〔『愛善世界』令和5年1月号掲載〕

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