昭和24年に再発足した人類愛善会により平和大行進が行われている。「平和憲法を守ろう」「世界軍備の全廃」の横断幕などが掲げられ、出口榮二先生や梅園浩氏らが先頭に立っておられる(大本70年史下巻1113頁)。
また、昭和29年の第五福竜丸の水爆被ばく事件でも、出口榮二先生を中心に160万人の原水爆反対の署名運動を全国に展開している(同1134~1151頁)。まさに、出口聖師の軍備撤廃の御教えの実践である。
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出口聖師は戦後、「吉岡発言」として
「本当の世界平和は全世界の軍備が撤廃したときにはじめて実現され」(朝日新聞 昭和20年12月30日)
と言われ、また、霊界物語でも
「有形無形この二つの大なる障壁を取り除かねばなりませぬ。有形的障害の最大なるものは対外的戦備《警察的武備は別》と国家的領土の閉鎖…又無形の障壁の最大なるものとは、即ち国民及び人種間の敵愾心」(64巻上5章「至聖団」)
と示され、軍備撤廃は一貫した御教えである(関連レポート15・16)。さらに、軍事力で「抑止力」を効かすのは、地獄の行方だと示してある。
「沢山の軍人を抱へて、武装的平和を高唱したりしてゐるのは、皆地獄の行方だ」(47巻1章「アーク灯」)
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この地獄の行方が、さらに進められようとしている。12月16日に閣議決定された安保関連3文書は、防衛力強化を謳い、特に敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有することで、軍事的「抑止力」を高めようとしている。
懸念を示す全国2紙をよそに、日ごろ自衛隊の憲法明文化を主張する読売新聞は、我が意を得たのであろう、「防衛力を強化するのは妥当だ」(12月17日「社説」)と国民を煽る。
我々は、改めて出口榮二先生らの軍備撤廃への行動力を見習うべきである。また、御教えにあるように、まず無形の障壁、国民間の敵愾心を取り除くことに努めるべきである。近隣諸国との友好を深めることは、過去から積み重ねて来たことであり、ネット社会の今日、国民個々間での交流もより進め易くなったのではないか。
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12月26日の勉強会は、54巻3章から5章まで。国王から逃れていた六人の王子・王女が帰る。首駝の不細工な娘ハンナに総領息子アールが求愛し、また、宣伝使の従者万公が王女ダイヤ姫を恋慕する中での、王族と平民の身分をこえた結婚に関する言葉が印象深い。
「時代の趨勢を考へ、上下一致して天下の経綸を行はねばならぬ刹帝利の身…下らぬ形式に捉われて、貴族結婚を唯一の能事として」(アール)
「愛には上下の隔てもなければ、階級だの、形式だの、財産など、法律などの仮定的なものの容喙を許さない神聖不可犯な者」(万公)
これらの言葉から思い出した方がいる。皇族有栖川宮熾仁親王の血をひく出口聖師と侠客多田亀の娘琴との間に生まれたと思われる大石ヨシエ氏である。氏は、出口聖師に満洲国に遣わされ、また、戦後、衆議院議員になっている。
(令4・12・27記)
〔『愛善世界』令和5年2月号掲載〕
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