秘書が責任を取る(レポート1)

勉強会レポート

 新型コロナウイルス感染拡大の中、インターネットによる霊界物語勉強会が月に一回、開催されている。自宅のパソコンで参加できるwebミーティングソフト「Zoom」を利用したもので、出口孝樹代表責任役員がお世話をされている。

 昨年十二月二十六日(土)午後、この霊界物語勉強会に参加した。今回の参加者は七名で、私は三回目である。第五十一巻の第四章「乞食劇」から第七章「曲輪玉」までを、順に拝読しつつ感想などを述べた。高姫と妖幻坊が、松姫が神司(かむつかさ)である小北山の聖場に来て、役員の初と徳を使って聖場の乗っ取りを企てるが、失敗するというストーリーである。

 この勉強会の前日の二十五日(金)の朝刊で、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用補填に関する記事が大きく報じられた。費用補填は公設第一秘書の独断専行で前首相が「知らない中で行われ」たとして、秘書が政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴されている。ただ、「議員と秘書の二人だけの話の中で、結局は秘書が責任を取ることになったのだろう」との地元民のコメントが正しいように思われる。

  さて、高姫らと初らの使う側と使われる側との関係から、同様の立場にある前首相と秘書との関係を連想した。初と徳は、斎苑(いそ)の館の総務杢助(実は妖幻坊)の片腕となる出世欲から【註1】、高姫や妖幻坊の言葉に上手に乗せられ、乱暴をもって松姫の追い出しを謀る。しかし、その失敗を見て、乱暴の罪を初らに着せるため高姫らは、容赦なく初らに(むち)を当てる【註2】。欲深い者を利用した自愛強きわれよし、強いもの勝ちの者のありさまがよく描かれている。

 なお、秘書の配川博之氏は百万円の罰金を払い、辞職している。「周囲に気配りする人柄で、バランス感覚があり人なつっこく明るい雰囲気。いつも堂々としていて冷静沈着」との周囲の評である。安倍夫妻の信頼が厚かったことが災いしたのか、同じ山口県人だけに同情せざるを得ない。

【註1】第二章「怪獣策」
高姫『…之から杢助様の片腕にして上げるから、どうだ嬉しうないか、結構だらうがな…』
初『ハイ、身に余る光栄で(ござ)います…』

【註2】第六章「舞踏怪」
高姫『痛かろ痛かろ、痛いやうに(なぐ)るのだ。かうせねばお前の罪も亡びず、私の疑も晴れぬから、弁慶でさへも御主人の頭を撲つた事を思へば辛抱をしなさい』
徳『本当に高姫さま、撲つちや(たま)りませぬわ、約束が違ふぢやありませぬか。何ぼお前さまの弁慶の(弁解の)ためだと云つてもやりきれませぬわ』

         (令3・1・26)
〔『愛善世界』令和3年3月号掲載〕

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