このレポートは今回で12回目の区切り。1回目のレポートで取り上げた「桜を見る会」の安倍元首相は、先の衆院選挙の山口4区で2万4千票を減らし、全国最低の投票率49・67%の山口県の中でも、48・64%の低投票率であった。
国民の厳しい目を気にした数字だとすると、同じ山口県民として多少申し訳が立つ。
○
1回目のレポートでは、安倍元首相とその秘書との、使う側と使われる側の観点から、高姫・妖幻坊が、「出世欲」につけ込んで初公・徳公を利用する様子を紹介した。
2回目以降にあるとおり、肉体的凶霊妖幻坊の妖術でできた浮木の森の曲輪城で、「名利」や「恋」「心の誇り」「油断」「慢心」などにつけ込まれ、妖幻坊の魔のなかに人々が陥って行く。あたかも現代社会を映し出したようである。ランチ・片彦の元バラモン将軍は、巧妙な欺しのテクニックに会い、高姫も自らの美しさに惚れる11月22日の勉強会では、再び曲輪城が舞台となる。
○
ところで、この第四篇の表題は「怪妖幡離」。「海洋万里」(第25~36巻)のもじりに見えるが、「幡」は仏や菩薩の威徳を示す荘厳具。幡を立てて福徳を得て、長寿や極楽往生につながる(ウィキベディア等)。「妖怪」が「幡」から人々を「離」すという、表題四文字に内容を凝縮させる霊界物語のすごさに改めて驚く。
○
曲輪城に入ったガリヤ、ケース、初、徳を八人の美女が迎える。実は吸血の狸である。恋の曲者に捉われた徳が、その餌食になる。耳や指を咬み取られ、噛られても気がつくことはない。
四方より徳一人の体に喰ひ付き、耳を舐めたり、手を舐めたりして恋しがる。徳公は魂が有頂天となつて、耳を咬み取られ、指を噛られて居るのも、少しも痛痒を感ぜず、口を立方形にあけて涎をくつてゐる。耳や爪先から血をチウチウと吸はれて段々青くなり、よい気分になつて、ぐつたりと寝て了つた。
〔第52巻第21章「狸妻」〕
この中でガリヤのみが狸に欺されなかった。揺るぎない信仰を持ち、常に心の中に神言を称え、大神から離れることはなかった。
第四篇「怪妖幡離」の最後に初稚姫が登場し、四人は、自分たちが草莽々たる萱野にいたことに気がつく。ランチ・片彦元将軍も助けられた。常に神を忘れないしっかりとした信仰を持たねばならないと痛感した。
○
11月30日、衆院選挙区定数の見直しが総務省から発表された。山口県は定数1減で、次の選挙から安倍元首相の山口4区は、衆議院議員にくら替えした林芳正外務大臣の3区と統合が見込まれる。政界・曲輪城で「権威欲」を欲しいままにした安倍元首相も、自身が実は草莽々たる萱野にいたことに気がつくだろうか。
(令3・12・5)
〔『愛善世界』令和4年2月号掲載〕
コメント